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ミェン族の伝統的な刺繍と他民族との文化の融合は、ミェン族の厳しい移動の歴史の中で つくり上げられ、代々受け継がれながら続いていきました。 ミェン族の歴史と伝統文化(刺繍) ![]() ![]() ![]() ミェン族*の人たちは、中国南部の四川省、湖南省、貴州省などを起源とし、漢民族の圧政などにより、雲南省やベトナム、ラオス、ミャンマー(ビルマ)などへ移動しながら、1920年代頃から一部の人たちが、タイ北部の山岳地域に移住をはじめたと考えられています。 彼らは、焼き畑農業を中心として、米、トウモロコシなどを栽培し、生活していました。 中国文化の影響を受け、長い間、中国との関係を保ちながらも、まわりの険しい山々に囲まれた環境が、近隣の他の民族や中国からも隔絶した環境をつくり、民族独自の衣装や習慣、言語、文化を確立していきました。 *ミェン族の人たちは、ヤオ族と呼ばれることもありますが、タイ国内ではミェンと呼ばれ、自らもミェンをつかっているため、織り人では、基本的にはミェン族を使っています。 ![]() しかし、中国文化の影響を受けていたことから、道教や漢字が普及し、男性の間では、漢字によって伝統文化が書き記され、息子たちへ受け継がれていきました。 女性たちは、文字の代わりに、伝統的な衣装や刺繍の文様を娘たちに伝えていきました。 ミェン族にとって、中国語の読み書きは「洗練された男性」であるかどうか、刺繍の技術は「よき女性」であるかを証明するものだと考えられていました。 ミェン族の女性の民族衣装は、赤い大きな毛糸の襟のついた濃紺の上着に、細かな刺繍で埋め尽くされたズボンをはき、頭には大きな頭巾を巻いているのが特徴です。 そうした衣装の刺繍技術の巧みさや美しさが、よき女性として認められる基準の一つであったため、祖母から母へ、母から娘へ、代々小さい時から、刺繍の刺し方を学んでいきました。 *この右側の写真の女性は、ミェン族の刺繍グループを取りまとめているリーダーのところに、自分が刺した刺繍布を売りにきたところでした。 身につけていらっしゃる衣装の刺繍が素晴らしかったので、自作の刺繍布と一緒に写真を撮らせていただきました。 ミェン刺繍の文様とモチーフ ![]() ![]() ![]() ![]() ミェン族の刺繍には、いくつかの刺し方があり、主に「織り刺し」「格子刺し」「交差刺し」の3種類があります。 織り刺しは、布の経糸(たていと)または緯糸(よこいと)どちらかに平行に刺していくため、織り文様のようにみえます。 格子刺しは、経糸と緯糸の両方を平行に刺し、小さな四角形の囲みを作り、その四角を繰り返し、格子模様をつくっていきます。 交差刺しは、いわゆる「クロスステッチ」のことで、小さな「×」印を繰り返しながら、模様をつくっていきます。 上の写真2枚の文様は、どちらも「猫」をモチーフにしたものです。 上2枚、下4枚の写真はすべて、「格子刺し」の刺繍です。 ![]() ![]() 上の写真左の茶色とオレンジの4つの刺繍は、「折れた樹」を意味し、ミェン族の刺繍の中で頻繁に使われ、 ズボンの裾部分には必ず使われる文様です。そして、真ん中の緑色の刺繍は、「猫の爪」をあらわしています。 上の写真右は、「猫」と「折れた樹」の刺繍の組み合わせで、この2つの文様は、ミェン族の民族衣装の中によく見かける文様です。 ![]() ![]() 上の写真左のピンクの4つの文様は「大きな蜘蛛」、真ん中の黄色の刺繍は「小さな猫」をあらわしています。 上の写真右の4つの先端の白い刺繍は「小さな蜘蛛」、真ん中の黄緑色の刺繍は「渦巻き」をあらわしています。 このようなモチーフをライン状に刺したり、それぞれを組み合わせたりすることで、ひとつの模様をつくっていきます。 ![]() それに比べ、ズボンの中央部分(太ももから脛にかけて)は、すべて「クロスステッチ」で、下地の布が見えないほどに、ぎっしりと刺繍がほどこされています。 クロスステッチは、ミェン族の人たちの間では、あまり使われる技法ではありませんでした。 民族衣装の上着の襟部分など、非常に限られたところにだけ許されるという、とても制限の多い技法でした。 それが今では、特にタイのミェン族の人たちの間では、「クロスステッチ」が主流となり、民族衣装のズボンにも、「クロスステッチ」を多用したものが普通になってきました。 この写真の女性のようなクロスステッチを中心にしたズボンは、タイ北部のミェン族の特徴的な衣装となっています。 ![]() 写真右の中央の白い刺繍の4つの矢印がくっついた十字は、「天秤ばかり」をモチーフにしたもので、そのまわりを囲っているのは「虎の爪」をあらわしているそうです。 一つひとつの文様や色合いには、それぞれ意味や該当するモチーフがあったのですが、現在ではそうした文様の由来を、正確にわかっている人は少なくなり、「昔から刺しているから…」「きれいだから…」という人も多くなってきています。 ミェン族と他民族文化の融合とこれから… ![]() ![]() ![]() 「織り人」の刺繍をお願いしているモン族の村で、ミェン刺繍の「折れた樹」や「猫」のモチーフを刺しているところを見かけた時に、それはつい最近の傾向なのだと思っていました。 しかしながら、インドシナ戦争の際、モン族の人たちと同様に、ミェンの人たちも自分たちの村を去らざるを得なくなり、タイの難民キャンプへ辿り着くまでの間、そして、難民キャンプ内で、はじめて他の地域のミェンの人たちや、モン族など他の民族の人たちと出会い、異なる地域、異なる民族の文様を知ることになっていったのです。 モン族がよく用いる「クロスステッチ」は、「織り刺し」や「格子刺し」よりも簡単で、若い人たちも自分たちの思う通りの柄を刺しやすく、また、多くの色を使いびっしりと刺繍を刺すので、色あざやかできれいで、豪華に見えるため、ミェン族の人たちの中でも、若い人たちを中心に「クロスステッチ」が好まれるようになっていきました。 ![]() そして、これまでの生活よりも、難民キャンプの生活では、刺繍に費やす時間がふんだんにあり、そのことにより、さらに民族間での文様の融合が進み、伝統的な柄や色合いだけでなく、刺繍もより手の込んだ、より豪華なものになっていったのです。 そして、自分たちの故郷(ラオスなど)やタイでもなく、ヨーロッパやアメリカなど第三国へ定住した親戚、家族のために、その刺繍や民族衣装をつくり送るようになり、ミェン刺繍の美しさが、外国でより認められるようになっていったのです。 自国を追われ、難民キャンプでの生活が、今のミェン族の刺繍の基礎をつくりあげ、広めていったというのは皮肉なことです。 しかしながら、民族伝統の技術であっても、長い年月の間に、徐々に変化し、さまざまな影響を受けていくものです。 そうした変化は、今後も避けられるものではなく、新たなものにつくり変えられながら、次の世代へ伝えられ、残されていくのだと思います。 そして、織り人では、伝統だけにとらわれるのではなく、こうした変化とともに、”今つかわれるもの”をつくっていきたいと思っています。 ![]() 参考文献:ヤオ族の刺繍−文様に込められた祈りと移住の物語(坂口里香氏訳) *モン族の歴史的な背景について書かれた文献は多少みかけますが、ミェン族(ヤオ族)について書かれたものはあまりなく、 ミェン族の刺繍文様を中心に、その歴史的背景にも触れていて、モン族と同じような運命を辿ってきたミェンの人たちのことを 知ることができる一冊です。 *本文章中のミェン文様のモチーフについては、本書を参考に記載しています。
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